夢の中の世界
みんなが静まり返り、あたしに視線を向けているのがわかった。


咄嗟に俯いてみんなの視線から逃れる。


恵里果の言う通りだった。


あたしは恵一のことが好きだ。


だからつい、恵一を庇うような事ばかりを言ってしまう。


この空間で目覚めてからはそうならないように気を付けていたのに、バレてしまっていたなんて……。


この場所でえこひいきは危険だ。


貴央と真弥が2人して口をつぐんでいたように、いつまでたってもここから出られなくなる可能性を増やしてしまうだけだった。


「今、そんな話は関係ないだろ。珠を責めるなよ」


静かな恵一の声が聞こえてきて、あたしはそっと顔を上げた。
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