夢の中の世界
「恵一も珠のことが好きだもんね。珠が事故に遭って入院してから、毎日病院に行ってたの知ってるよ」


恵里果の言葉にあたしは目を見開いた。


今の話は本当だろうか?


恵一も、あたしのことが好き……?


「事故を起こしたのは俺の父親だ。お見舞いに行くのは普通だろ」


恵一は強い口調でいい返しているが、その頬が少しだけ赤く染まっていることに気が付いて心臓が跳ねた。


まさか、恵一は本当にあたしのことを……?


そこまで考えて、強く左右に首を振る。


今はそんな話をしている場合じゃなかった。


「話を元に戻そうよ。狙われたのが恵一だとしたら、その動機が気になる」


あたしは早く口に言った。


早くこの場所から出ないと、恵一の気持ちを確かめることだってできない。


それに、事故に関する話の中で動悸の部分はまだ出てきていなかった。
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