夢の中の世界
恵里果は相変わらず強い口調で言い返して来る。


しかし、その声はとても小さかった。


あたしの意見が正しいと思ってくれているからだろう。


そんな恵里果の反応に少し安堵したとき、真弥が貴央の前に出た。


「吉之って毎回2位か3位だよね?」


真弥が吉之へ向けて質問する。


それはあたしも知っていることだった。


恵一がいる限り吉之は1位になることはできないと、誰もがコソコソ噂していることだったからだ。


「恵一は誰かに恨まれていたわけじゃなくて、妬まれていたんだよ。試合で遅刻すれば無条件で失格になるとわかっていたから、事故を起こさせた……」
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