夢の中の世界
みんな、呼吸をすることも忘れて蒼白顔の吉之を見つめていた。


「ド、ドアを確認しますね」


息苦しさを回避するように1年生2人がドアに駆け寄った。


ガタガタと音はするものの、ドアも窓もびくともしない。


床と天井にも、相変わらず得体の知れない岩のようなものが鎮座していた。


「犯人がわかったのに、ドアは開きません!」


由祐が苦し気な声で報告する。


あたしは重たい体を動かして街が見下ろせる窓へと移動した。


窓の外を確認してみても、人は1人も見られない。


状況は変わっていないみたいだ。


「なにも変化なし……か……」


ということは、まだ事故の詳細がなにも解決していないということなんだろう。


もっともっと、私たちが知らない部分が隠されているのだ。
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