夢の中の世界
「でも、更衣室を出た時に誰かが走って行くのが見えたんです。後ろ姿だったから誰だかわからないけれど、女子生徒でした」


由祐がそう言った瞬間、カチッと音がして時計の長針が動いていた。


その音に一瞬息を飲む。


まさか、このタイミングで時計の針が動くなんて思っていなかった。


他のみんなも驚いて目を丸くしたり、口をポカンと開けたりしている。


「女子生徒……」


恵一は呟き、あたしへ視線を向けた。


あたしは無意識の内にあとずさりをしていた。


そして、教室内を見回す。


この教室内にいる女子生徒は……。


あたしと、真弥と、恵里果の3人だけだ。


あたしは事故の被害者で、真弥はコンビニでカラーボールを盗み出して……あと1人は……。
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