夢の中の世界
そう考えたとき、視線が恵里果へと向いた。


ゴクリと唾を飲み込んで「恵里果は事故の日、あたしとの約束場所にいたんだよね?」と、質問する。


「そうだよ」


「証拠は?」


恵一がすぐさま割って入って来た。


「証拠って言われても……」


恵里果はとまどったように視線を漂わせる。


「証拠なんて、咄嗟には出て来なくて当たり前だよ!」


つい、恵里果を庇うように声を大きくしていた。


でも、嫌な予感は胸の中に渦巻いていて、もしかして恵里果こそ、この事故に大きく関係しているのではないかという疑念が膨らんで行く。
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