夢の中の世界
「あたしが、1年生の話を偶然聞いた」


全員の視線が恵里果へ向かう。


「その話を聞いて、お前はどうした?」


恵一が聞く。


しかし、恵里果は答えなかった。


腕を組んでそっぽを向き、ぶぜんとした態度を取っている。


きっと恵里果は1年生たちの話を聞いた後、なにかをしたのだ。


それが事故に関わってきている。


早く聞いて終わってしまいたいという気持ちと、聞きたくないという気持ちがせめぎ合う。


「どうしたかって聞いてんだよ!」


恵一が怒鳴り声をあげ、空気が震えた。


「なんで言わなきゃいけないの?」


恵里果の冷たい声に、なぜだか胸が痛んだ。


恵里果とは高校に入学してから仲良くなって、1番の友達のはずだった。


でも、こんな恵里果はいままで見たことがなかった。
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