夢の中の世界
「もしかして、吉之先輩の父親に話したんですか?」


1年生の一輝がジッと恵里果を見つめてそう聞いた。


恵里果は咄嗟に一輝から視線を逸らせている。


「どうして俺の父親なんかに……?」


吉之本人にそう聞かれると、恵里果は大きく息を吸い込んだ。


しかし、なかなか二の句を継ごうとしない。


「恵里果お願い。全部話して」


「うるさい!!」


あたしの質問にはすぐに、怒鳴ったように言い返す恵里果。


それでもあたしはめげなかった。


もう少しで事件の真相に近づけそうなのだ。


ここでひるんでいる場合じゃない。


あたしは恵里果に一歩近づいた。


恵里果はうっとうしそうな表情をあたしへ向けている。
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