夢の中の世界
何を思い出すのか。


自分が何をしてしまったのか。


知る事が怖かった。


だけど、思い出さないといけない。


そうしないと、あたしたちはこの空間から抜け出す事はできないだろう。


「ゆっくりでいい」


恵一があたしの前にしゃがみ込み、手を握りしめてくれた。


大きくて暖かな感触に胸の奥が安堵するのを感じる。


あたしはそっと目を閉じた。


みんなの視線を遮断して、恵一の温もりだけを感じる。
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