夢の中の世界
恵里果とあたしの家は徒歩5分ほどの距離にある。


しかし、約束場所のコンビニまでは20分はかかるのだ。


わざわざ遠くのコンビニで待ち合わせることが、その時の違和感として残っていたのだ。


けれど、その理由を恵里果に聞いたりしなかった。


会って聞けばいいことだと思ったから。


でも……。


「その待ち合わせ場所に行く途中で、恵一のお父さんが運転する車に偶然轢かれた」


そう言い、目を開けた。


明るい世界に少しメマイを感じたが、恵一の優しい顔を見るとそれもすぐに消えて行った。


みんな、もうあたしを見ていなかった。


輪の中心に立っている恵里果に視線が向いている。


恵里果は青ざめ、小刻みに震えながら立ち尽くしている。


一体なにがあったんだろう?
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