夢の中の世界
そう呟くと、あの教室での出来事が鮮明に思い出された。


閉じ込められた恐怖。


それぞれが持っていた秘密。


その1つ1つがほどけて行き、やがて真相を掴んだときのこと。


「そうだよ。あの後俺は自分の部屋で目が覚めたんだ。でも、学校に行っても珠は来ないし、先生に聞いたらまだ入院中だって言われるし、もうなにがなんだかわからなかった。全部悪い夢だったんじゃないかって思ってたんだ」


思い出したように恵一は大きく息を吐きだした。


「そうなんだ……。あれは全部夢だったの?」


それにしてはリアルな夢だった。


それに、恵一もあたしと同じ夢を見ているようだ。


「夢なんかじゃない。あれは間違いなく存在した教室だった。少なくても、俺たちの魂はあの教室に集められていたんだ」


魂が……。


それなら、あたしはその間にもずっとここで眠っていたのだろう。
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