夢の中の世界
「あの……恵里果は?」


そう聞くと、恵一は一瞬言葉に詰まったように見えた。


あの教室内で、あたしと恵里果の関係は完全に崩れ落ちれしまった。


全部、恵里果の苦しみに気が付くことのできなかった、あたしのせいだ……。


「事件を引き起こした犯人は恵里果だ。もう学校にはいられなかった」


恵一の話だと、恵里果はあの空間から目覚めた翌日から学校へ来なくなったらしい。


連絡をしても返事はないし、どこへいったのか分からないと言う。


だけど、恵里果はきっと自ら罪を償うために警察へ向かったのではないかと思われた。


「でも、1つだけ恵里果から託されたものがあるんだ」


恵一はそう言うと、ポケットから小さく折りたたまれた手紙を取り出した。


「これ、恵里果から私に?」


「そうだ。目が覚めたら渡してくれって言われたんだ。その後恵里果とは完全に連絡が取れなくなった」
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