夢の中の世界
「それより気になるのが、珠のことなんだけど」


不意に恵里果にそう言われてあたしは目を見開いた。


「あたしのこと?」


驚いて声が裏返ってしまった。


この状況であたしのことが気になるのは、どうことだろう?


「うん。どうしてここにいるの?」


恵里果の質問に今度は瞬きを繰り返していた。


「どうしてって言われても……」


あたしだって、みんなと同じように目が覚めたらここにいた。


それ以前の記憶を思い出そうとしてみたら、頭が痛くなって思い出すことができなかったのだ。


そのことを説明すると、「そうじゃない」と、恵一に言われた。


「どういう意味?」


あたしは首を傾げて聞き返す。


これ以上、説明する方法が思いつかなかった。


「珠、お前は入院してただろ? いつ退院したんだ?」


恵一からの質問にあたしは目を見開いたまま動きを止めた。
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