夢の中の世界
一刻も早くこの教室から出る必要がある。


「どうして時計が進んだんだろう? もしかして、なにか変化があったとか?」


根拠はなかったが、あたしはブツブツとそう呟いた。


このタイミングで突然時計の針が動いたことと、この世界がなにか関係しているのだとすれば、目には見えない変化があったのだとしか考えられなかった。


「よし、もう1度窓を壊してみよう」


C組の吉之があたしの呟きを聞いていたようで、椅子を片手に窓へと移動しはじめた。


恵里果がすぐに後を追い掛ける。


「私も手伝う」


そう言って近くにあった椅子を手に取った。


危ないからやめなよと言う言葉を喉の奥に押し込み、2人を見守る。


「いくぞ! せーの!」


吉之の掛け声と共に、椅子が窓に振り下ろされる。


ガツン! ガツン! と、大きな音が何度も繰り返し響き渡り、真弥が耳を塞いで両目をギュッと閉じた。


吉之と恵里果の2人が、1枚の窓に交互に椅子をぶつける。
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