夢の中の世界
しかし、ガンガンと不快な音が教室内に響くばかりで、窓にはヒビ1つ入らない。


吉之と恵里果はだんだん体力を奪われ、最後には椅子を投げ出してしまった。


「全く歯が立たない……」


吉之は肩で呼吸をしながらそう言い、その場に座り込んでしまった。


「吉之、大丈夫?」


恵里果が心配そうに吉之の隣に座り込んだ。


「やっぱりダメか……。なぁ、その時計、この空間とは関係ないのかな?」


恵一が時計に近づき、マジマジと確認している。


「外れないだけで、どこにでもある普通の時計ですよ」


由祐の言葉に恵一は顎に指をあてて考え込んでいる。


時計は再び秒針ばかりが進み、長針が動かなくなっていた。


「もしかして、5分に一回進むタイプの時計じゃないですか? そういうのもあるでしょ?」


一輝の言葉に恵一は頷いた。
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