夢の中の世界
吉之が立ち上がり、軽く両腕をもんでマッサージをした。


「恵一の考えが正しかったと仮定して考えると……俺たちがしていたのは、珠がいつ退院したのかって話だ」


吉之の言葉にあたしはハッと息を飲んだ。


そうだった。


あたしがいつ退院して、どうしてここにいるのか。


そんな話をしている時に時計の音が聞こえて来たんだ。


思い出した瞬間、嫌な予感がして背中に汗が流れて行った。


7人の視線があたしに向かい、後ずさりをする。


まるで視線にがんじがらめに囚われてしまいそうな、恐怖心が沸き起こった。


同時に強く左右に首を振っていた。


「あ、あたしはなにも知らない!!」


この空間に関係のある人物だと思われたら嫌だ。


下手をすれば悪者になってしまうと思い、必死で「違う、知らない」と繰り返す。


自分でも気が付かない間に後退を繰り返していたようで、背中にロッカーが当たった。


「落ち着いて珠。誰も珠が犯人だなんて言ってないじゃん」


恵里果に言われてあたしは深呼吸をした。
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