夢の中の世界
「でも、『助けて』とは言ってないよな」


貴央が真弥を庇うように言う。


「確かに。1度やってみるか」


珍しく吉之が積極的にドアへと近づいて行く。


「あたしも賛成する」


とにかく、みんなの意識があたしから離れるならそれでよかった。


あたしは真弥と吉之の意見に賛同し、ドアへと急いだ。


「あとは、床や壁を壊して脱出するとかかな。よし、やれることは全部やってみよう」


貴央の言葉に真弥が頷く。


「恵一、やるぞ」


「あぁ……」


考え込んでいる恵一を1人残して、貴央は再び椅子を手に持ったのだった。
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