夢の中の世界
「こんなのおかしいよ。この教室の下は1年A組のはずなのに!」


真弥が悲鳴に似た声で言う。


確かに、2年A組の下は1年A組の教室があるはずだ。


でも、存在しているのは工具も打ち砕いてしまう、真っ黒な岩のようなもの……。


さっきまでの期待は一気に絶望へと変換され、重たい沈黙がのしかかってくる。


みんな呆然と岩を見つめているだけでなにも発言できなかった。


「て、天井も確認してみますか」


震える声で1年生の一輝が言う。


「確認したって、どうせ同じだよ!」


真弥が貴央の手を握りしめて叫んだ。


「でも、上の階から行けるかもしれない」


吉之が天井を見上げて言った。


「だけど、天井を破壊するのは床よりも体力が必要だ。それで出られなかったら、無断な体力を消耗することになる」


そう言いながらも、吉之は工具を握りしめて教卓の上に立った。
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