夢の中の世界
こんなの、映画や漫画の世界でしか見たことがない。


まさか、自分が巻き込まれてしまうなんて、考えてもいなかった。


「誰かって誰!?」


恵里果が叫び返す。


「わからないよ。だけど……こんなことができるんだから、人間じゃないんだろうな」


貴央の言葉に全員が静まり返った。


人間じゃない何者かが、あたしたちをここに閉じ込めた……?


「それじゃ相手の目的もわからないし、生きて外に出られるかもわからないってことだな」


天井を剥がしていた吉之が肩で呼吸を繰り返して呟く。


剝がれた天井を確認してみると、そこも床下と同じで岩のようなもので覆われている。


恵里果が吉之の腕を掴み、小刻みに震えている。
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