夢の中の世界
「俺もだ。土曜日は試合だったからな」


吉之がすかさず言った。


「それを言ったら、俺と由祐もです」


1年生の一輝の言葉に「2人ともキックボクシング部なの?」と、真弥が聞いた。


「そうです。だから恵一先輩のことも、吉之先輩のことも知っています」


由祐が答えた。


ここにいる8人中、半分の4人がキックボクシングをしているということになる。


この空間にいることと、なにか関係があるような気がして胸が騒いだ。


もしかして、この空間と密接な関係にあるのはあたしではなく、この4人なのではないか?


そんな疑念が浮かんでは消えて行く。


もしもそうだったとして、キックボクシングとなんの関係もないあたしと恵里果、そして貴央と真弥が一緒にいるのはどうしてだろうか?


「俺はあの日、1日中真弥とデートしてた」


そう言ったのは貴央だった。


真弥の手をきつく握りしめていて、絶対に離さまいとしているのが伝わって来た。


真弥は貴央の言葉にコクコクと何度も頷いた。
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