夢の中の世界
「あたしの口から言わせてもらうよ?」


恵里果からの問いかけに、恵一はビクリと肩を震わせた。


さっきまで大きく見えていた恵一の体が、今はとても小さく見えた。


あたしはゴクリと唾を飲み込み、恵里果の次の言葉を待った。


聞きたくないと、あたしの本能が言っている。


出ていくことができるなら、今すぐ教室から飛び出して逃げ出したいと、本能が言っている。


けれどそれは叶わぬ願いだった。


そしてあたしは今、恵里果の言葉を聞くしかないのだ。


恵里果は1度大きく息を吸い込んだ。


そして、話す。


「事故を起こしたのは、恵一のお父さんの車だよね?」


恵里果の言葉に、あたしの時間が停止した。


「え……?」


声にならない声で呟く。
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