夢の中の世界
「とにかく、もう1度ドアや窓を確認してみましょう」


1年の一輝がそう言いドアに手をかけている。


しかし、それは相変わらずビクともしない。


窓も同じだ。


「やっぱりダメみたい……」


真弥が声を震わせて言った。


「じゃあ、一体なんのためにこの針は進んでるんだろう?」


あたしは時計を見上げて呟いた。


「確かに、妙だよな……」


吉之が頷く。


ドアも窓も開かないのに、秒針だけ進んでいく。


秒針が進んだ分だけ教室内に変化があればいいけれど、それも見当たらなかった。


「もしかして、ある一定の時間まで針を動かせば解放されるんじゃないか?」


そう言ったのは貴央だった。


「一定の時間って?」


あたしが聞き返すと貴央は首を傾げた。


「さすがにそこまではわからないけど、時計の針を進めて行けばなにか変化がある気がしないか?」


「そうなのかな……」
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