夢の中の世界
今まで長針は2度動いているが、それでもなんの変化もなかった。


これから先教室内に変化が訪れるかどうか、誰にもわからないことだった。


「話を戻しましょう」


1年生の一輝がそう言った。


あたしはコクリと頷く。


「えっと……恵一のお父さんは捕まったの?」


聞きにくことだけど、あたしはひとつ咳払いをしてからそう聞いた。


「いいや……。あの、事故はちょっと変だったんだ」


恵一は申し訳なさそうな表情をこちらへ向けて言った。


「変って?」


自分が被害に遭ったことなのに、人に聞かないとなにもわからないのがもどかしかった。


「さっき言った通り、あの時俺は車の助手席に乗ってたんだ。横断歩道の手前で、車側の信号はまだ青だった。その時に頭上からカラーボールが落ちてきたんだ」


恵一の言葉にあたしは一瞬絶句していた。


カラーボールとは、防犯等で使われるボールのことだろうか?
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