夢の中の世界
真弥はただ泣いているのではない。


この事故に関係している、なにかを知ってるのだ!


咄嗟にそう判断して、真弥に駆け寄った。


「嘘ってなに?」


いまだ泣きじゃくる真弥に聞く。


しかし、真弥は上手く言葉を紡ぐことができず、しゃくり上げるばかりだ。


少し落ち着いてもらわないと、会話にならない。


「悪い。ちょっとパニックになってるみたいだ。本当に、なんでもないから」


貴央がそう言い、あたしと真弥を引き離そうとする。


強引に腕を引かれてその場に尻餅をついてしまった。


痛みが走り、顔をしかめて貴央を睨み上げた。


「今の、わざとでしょ」
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