夢の中の世界
あたしの視線が真弥へ向いていることに気付いた貴央が振り向いた。


その瞬間、真弥が怯えた表情になる。


貴央が真弥を抑制しているのがわかった。


「真弥、言いたいことがあるのなら言って」


あたしは一歩前に踏み出してそう言った。


「だから、言いたいことなんてなにもない」


貴央がイラついた口調でそう言った。


「貴央には聞いてない! 邪魔しないでよ!」


つい怒鳴ってしまったその時だった。


真弥が覚悟を決めたように口を開いたのだ。


誰もが真弥の言葉に耳を澄ませているのがわかった。


真弥の一語一句を聞き逃さないとするように、教室中が静まり返る。


聞こえてくるのは、自分たちの呼吸音だけだった。
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