手招きする闇
2 一年生の教室が並ぶ校舎 一階

洋介「一年の奴、帰るの早えーな。もう誰もいねーし」
彩萌「ホント。学園祭の準備、間に合うの?」
       
 一年の教室が五個並び、その奥に別の部屋が二個並ぶ縦長の校舎を横切ろうとした時。

理子「あっ・・・」
       
 理子、足を止めて奥に続く闇を見つめている。

俊樹「理子、どうした?」
       
 彩萌、一番近くにいた洋介の腕にしがみ付く。

理子「誰かが手招きして・・・」
俊樹「手招きって、真っ暗だぞ」
理子「ほらあそこ」
哲司「俺達に見えないって事は、霊だよな?」
理子「そうみたい。私ちょっと行ってみる」
       
 理子、一人で暗い廊下の先に向かう。

哲司「俺達も行く?」
       
 哲司が残った三人に目をやる。

彩萌「やだやだ。洋介、私とここに残って」
       
 彩萌、腕の力を強めて彼を引き留める。

洋介「わかった。俺、彩萌とここにいるから、お前達行って来いよ」
哲司「わかった」
      
 哲司と俊樹は、先に行った理子を追う。

先生「こらお前達、ここで何をしてる。早く下校せんか」
       
 理子と、その後から彼女を追っていた二人、先生の声に従ってその場から引き返す。
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