青い春と出会った恋


「一ノ瀬くん、かっこいいね」
美希ちゃんが小声で耳打ちをした。

たしかに、あんなに嫌がっていた割にはよく似合っている。


「そうだね」
これはわたしも認めざるを得ない。

なんだかいつも以上にカッコよく見えた。

舞台効果だろうか?

普段はそうでもないのに、男女で登山をすると、女性が男性に惚れてしまうことがあるように、舞台上でもこういう効果があるのだろうか?

いつにも増してキラキラと輝いているように見えた。


しかし悠馬の役は一瞬で国民を招集して指示を出すだけで出番は終わってしまった。

重要な役ではあるが、主役と呼べる役でもない。

王子様衣装をわたしに見られたくなかったんだろう。

あんなに嫌がっていた割には、悠馬ファンの人は大満足しているようだった。


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