青い春と出会った恋
「…なにその格好?」
「ん?可愛いでしょ?」
くるりと布をなびかせながら体を数回反転させた。
「…不意打ち過ぎんだろ」
はぁーという大きなため息とともに、悠馬が聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声でボソリと呟いた。
「え?なに?」
廊下や教室から聞こえる声に掻き消されて悠馬の言葉がよく聞こえない。
「来てただろ?さっき」
「え?なにが?」
聞き返したが、すぐに舞台のことだとわかった。
「あー劇のことね。わかったの?わたしがいるって」
「いや、クラスの奴が花音が来てるって言ってたから」
「え?そうなんだ」
悠馬のクラスには、悠馬以外友達がいない。
入学当初、少し話題になったから、向こうが一方的にわたしのことを知っているのだろう。