青い春と出会った恋
「あ、あの…!」
1人の子が声をあげて、わたしも悠馬も足を止めて振り返る。
「い、一ノ瀬くん…」
声を絞り出したように、泣きそうな声で悠馬の名前を呼んだ。
悠馬はそんな思いをはね除けるように「悪いけど急いでるから」と再び歩き出そうとした。
「ま、待って!」
堪らず今度はわたしが悠馬を引っ張った。
「なんだよ」
「わたし先に行っとくから、3人の話聞いてあげて」
悠馬は少し考えてから「わかった」と呟いた。
その言葉にわたしは安心して、1人で校門をくぐり抜けて車に乗り込んだ。
正直少し複雑な気持ちがある。
だけど3人から反省している気持ちが伝わってきた。
それに、あんな必死で悠馬の名前を呼ぶ声を聞くと、どうしてもその言葉を無視して歩くことはできなかった。