青い春と出会った恋


「あ、あの…!」

1人の子が声をあげて、わたしも悠馬も足を止めて振り返る。


「い、一ノ瀬くん…」

声を絞り出したように、泣きそうな声で悠馬の名前を呼んだ。


悠馬はそんな思いをはね除けるように「悪いけど急いでるから」と再び歩き出そうとした。


「ま、待って!」
堪らず今度はわたしが悠馬を引っ張った。


「なんだよ」

「わたし先に行っとくから、3人の話聞いてあげて」

悠馬は少し考えてから「わかった」と呟いた。


その言葉にわたしは安心して、1人で校門をくぐり抜けて車に乗り込んだ。


正直少し複雑な気持ちがある。

だけど3人から反省している気持ちが伝わってきた。

それに、あんな必死で悠馬の名前を呼ぶ声を聞くと、どうしてもその言葉を無視して歩くことはできなかった。

< 138 / 213 >

この作品をシェア

pagetop