君のとなり。
この物語に救いはない。
ハッピーエンドなわけでもないし
なんなら登場人物の全員が不幸。

なのに、人を惹き付けるのだ。

明日が、聞こえる。

その言葉の響きが好きだった。

「なんで、鳴海くんがこの本を...?」

明日が聞こえるは、
鳴海くんが読むような本じゃない。
本の帯に書かれている著者からの
メッセージは、
『今が辛い君へ』なのだから。

私の問いに鳴海くんは
穏やかに微笑んで口を開く。

「俺、小学生の時はいろいろと
言われてたからね。犯罪者とか、
そのまま消えちゃえ、とか。」

犯罪者...?!
意味がわからない。
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