君のとなり。
「どういうこと...?」

「俺の父親が、犯罪者なんだ。
ちょうど今から7年前くらいかな。
俺の、母親を殺した...。」

父親が、母親を殺した。

そんな重い過去が、
鳴海くんにあったなんて...。

「ご、ごめん...!
私、鳴海くんのそんな過去も知らずに
しょうもないことで悩んで...」

深く深く頭を下げる。

情けなかった。

相手のことをろくに知ろうともせず
自分のことで手一杯になって
鳴海くんを傷付けた自分が許せなかった。

「春瀬は、悪くないよ。」

ほら、また君はそうやって言う。

本当は私が悪いのに、
ひとたび君が笑ってしまえば
そのことを忘れそうになる。
< 113 / 129 >

この作品をシェア

pagetop