君のとなり。
「あれ、寝たふりなんだ。」

眠っている、ふり。
それをする理由は決まっている。

「周りの反応が、怖い。
怖いけど気になるから、なの?」

私の言葉に鳴海くんは驚いたように
目を見開いて、それから微笑む。

「そうだよ。俺は俺の評価を
目を開いて聞く勇気がまだないんだ。」

スポーツ万能、スタイル抜群、
英語や数学は習熟度別クラスでも
上のクラスにいるし、
うちの学校の理想の王子ランキング
1位とも言われている鳴海くん。

その殻の中に閉じ籠っているのは、
すごく優しくて怖がりな本当の彼だった。

「評価って、怖いね。」

「そうだね。」
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