君のとなり。
ぷつりと小さな音がして、
まもなく電話が切れた。

耳からスマホを離してふっと
自分の気持ちが軽くなっている
ということに気付く。

1人で抱え込んでいるときよりも
穏やかな気持ちになっていた。

「鳴海くんのおかげ、なのかな。」

「きーちゃん、ご飯できたよ。」

「はいはーい。」

お母さんの呼び掛けに返事をして
私は夕食を運ぶためにスマホを
机の上に置いて、椅子から降りた。

『おやすみ。』

そう言った鳴海くんの声が、
耳の奥に残っていた。
< 49 / 129 >

この作品をシェア

pagetop