君のとなり。
素直に思っていることを答える。
出来るだけ、相手の要望に添うような
回答を心掛ける。

私はこのあとの会話の流れを知っている。

だからわざと、馬鹿にされるような
本音をわざわざ千歳の前で言うんだ。

乃南の横にいた莉杏がぷっと吹き出す。

「......あはは!意味わかんない!」

「とりあえず興味ある感じで
頷いとけば何とかなるでしょ。」

「うんうん、そうなんだぁ!」

「待って面白すぎ。」

私の前で堂々と私を馬鹿にする会話が
繰り広げられているのに、
私は何も反論はしなかった。

やめて。酷いこと言わないで。

そう叫んでもこの関係性が
変わらないのは分かっている。

私は自分が馬鹿にされているにも
関わらずまたへらへらと笑い、

亜美からルーズリーフを取り上げて
自分の机に置くと足早に教室を出た。
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