君のとなり。
そう思いながらぎゅっと
目を閉じていると、ガタガタッと
椅子を引く音がした。

少しして自分の座っている椅子が
引かれているということに気付く。

「春瀬、朝からずっと体調
悪そうだったんで今から保健室に
連れていってきます。
俺、保健委員なんでいいですよね。」

ふわっと身体が持ち上がる感覚。


これってもしかして、もしかしなくても。

お姫様だっこされてる?!

「鳴海くん1人じゃ大変でしょう。
もう1人の保健委員は?」

「向田は声が大きくてうるさいので
こういう仕事は担当じゃないです。
んじゃ、いってきまっす。」

私は目を瞑ったまま大混乱。

さっきあんなに酷いこと言ったのに
なんでこんなに優しいんだろう。

私が本当は寝てないこと、
鳴海くんはきっと気付いてるのに。
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