先生、仕事をさせてください!!
「今日、車じゃなくて自転車で来たんだって?もう暗くなっていてるし、危ないから送らせてよ」

「な、なぜそれを……」

「八重の先輩から聞いたんだ。女性に夜道を歩かせられないよ」

園田先生の言う通り、私は今日自転車で来ました。母に「貸してほしい」と頼まれたからです。わざわざ待っていてくれるなんて……。

「さ、乗って。乗らないなら八重が無事に家に着くまで後ろをついて行くよ?」

「それはただのストーカーです!」

園田先生が助手席のドアを開け、私は諦めて乗ることにしました。園田先生はどこか嬉しそうです。

「八重の家は××だよね?」

「先輩方から聞いたんですね……」

園田先生の恋をなぜみんなが応援したいのかは謎ですが、個人情報までサラリと教えてしまうとは……。病院の秘密保持はどうなっているんですか?

そんなことを心の中で呟いているうちに、車はゆっくりと動き始めました。病院から家までは車で二十分ほどです。
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