先生、仕事をさせてください!!
車の中では、互いに好きな音楽や旅行の話で盛り上がりました。好きなものが同じだと、会話に困ることはありませんね。

「八重は海外旅行はしたことある?」

「海外旅行は、高校の修学旅行で台湾へ行きました。とっても楽しかったです」

「じゃあ、行ってみたい国はある?」

「国……ですか?アメリカに行きたいです。グランドキャニオンを見てみたくて……」

楽しく話していましたが、もう家に着いてしまいました。もう少しドライブをしたいと思ったのは、きっとーーー。

「送っていただいて、ありがとうございます。おやすみなさい」

そう言い、車から降りようとした私ですが、グッとその手を園田先生に掴まれてしまいました。ドキッと何度目かわからない胸の高鳴りを感じます。

「八重……」

園田先生の顔が近づき、私はギュッと目を閉じました。そんな……私、まだ想いを伝えていないのに……。

柔らかな感触がしたのは、期待していた唇ではなく頰でした。

「えっ?」

目を開ければ、園田先生は意地悪な笑みを浮かべています。
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