美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「でも、同じような人間がくっついて暮らしてたら゛同類相憐れむ゛になるわね。・・・マジで気持ち悪い」

初めて聞いた心晴の悪意のある言葉に、瑠花は目を見張った。

「同類って・・・。心晴ちゃん、それ良い意味じゃない、って分かって言ってる?」

「えっ、ごめんね。三神主任たちのことを言ったんじゃなくて・・・私と・・・」

「ああ、そっちか。ビックリした。誤解を招くような言葉は慎むように。・・・ってことだから、瑠花ちゃんは気にしないでね」

゛って、ことだから゛って、何がどういうことなのか瑠花にはさっぱりわからなかった。

ただ、心優しい心晴の中にも、他人を貶めるような言葉を使う位には腹黒さがあるのだと知って、少しホッとする自分もいた。

完璧すぎる心晴の足元にも及ばない自分。

婚約者の間には入り込めないとわかっているのにどうしてだかこうして割りきれずにいる自分。

そんな瑠花をわかってくれるという点では、今後はミカと付き合うのが正しいことなのかもしれない。

゛まあ、それも、ミカがあんな女ったらしでなかったら、の話なんだけど・・・゛

瑠花が苦笑していると、

「ねえ、ねえ、瑠花ちゃん。さっきの彼のこと、今でも好きなの?」

と、呑気に雅樹が聞いてくる。

「まあ(友人としては)好きではありますけど」

「えっ、そうなの?ヤバイじゃん」

「いいじゃない、いい気味よ。思い通りになると思ったら大間違いなんだから、少しは苦しめばいい」

慌てる雅樹と毒づく心晴に益々混乱する瑠花。

「っていうか、ヤバ、早く行かなきゃ殺される!ほら、急ぎなさいよ。橋沼!・・・じゃあ、瑠花ちゃん、またね」

心晴はそれだけ言うと、嫌がる雅樹を引きずって、あっという間に瑠花の前から消えていった。

またもやおいてけぼりを食らった瑠花は、最早、自分の周りにはマイペースキャラしかいないのではないかと諦めの境地で立ち尽くすのだった。
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