美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
翌日の日曜日。

瑠花は思惑通り思う存分惰眠を貪った。

土曜の21時から眠りにつき、目覚めた今はなんと翌夕方の16時だった。

まだ外は明るいので一瞬朝かと思ったが、瑠花は時計を見て現実に驚いた。

連日の徹夜と思わぬ土曜の心理的負荷。

相当に疲れていたのだと悟った瑠花は、寝過ぎで凝り固まる身体を起こしながら、ゆっくりと台所へ向かった。

冷蔵庫から炭酸水を取り出して口に含む。

強烈な炭酸の刺激が寝ぼけた瑠花の脳内を一瞬にして現実に引き戻してくれた。

寝室に戻ると、ベッドの右側に設置しているデスクトップパソコンのスリープ画面が点滅していることに気づく。

確認すると、それは但馬課長からの仕事のメールだった。

滅多に使用されない社外メール。

瑠花は不安な気持ちにメールを開くと、

『今日ライバル社が発売したヘアケア商品の特性が三神主任の新商品と非常に似かよっている。どういうことか説明してもらいたいですね』

その想像以上にヘビィな内容に言葉を失った。

貼り付けられているホームページを開くと、穂積ソワンデシュブのライバル社である゛ロイヤルジャボン社゛。

そこには、新発売、ダメージケア用のアミノ酸系オーガニックシャンプー、しかも香りはダマスクスローズとアプリコットという点まで被るヘアケア商品が大々的に宣伝されていた。
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