美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「へえ、エマとミカは瑠花の親友なんだな」

朔也はジリジリと瑠花との距離を縮めていく。

フレンチレストランを出てからの二人は、それでなくともやや距離を詰めることに成功していた。

前回のDシティデート(朔也はそう思っている)から手を繋ぐのはデフォルトだ。

現在はカップルシートと呼ばれる、沈むタイプのソファでカクテルを満喫中。

朔也は瑠花の顔色を見ながら慎重に瑠花に近づき、ゆっくりと瑠花の腰に手を回して引き寄せていた。

抵抗がないのを確認すると、今度はその可愛いらしい顔を覗き込んで見る。

少しも嫌がる様子はない。

雅樹の言う通りで腹が立つが、ここは一旦保留だ。

嬉しいことに、頭をコテンと朔也の肩に乗せリラックスした表情を浮かべる瑠花。

朔也に心を開きつつある行動だと信じたい。

「そうなんですよ。エマがアメリカンスクールでできた・・・っていうか人生初の友人で・・・ミカはその双子の弟なんですけど、私と同じオッドアイの同志で・・・・」

プライベートを隠そうともせずにベラベラと語る瑠花は、まともそうに見えるがやはり普段のツンツンぶりを知る同僚からすれば確実に酔っぱらいだった。

朔也は双子への煮えたぎるジェラシーを眼鏡の奥に隠しながらも、世間話の延長線であるかのようにミカの情報集めに奔走する。

「元カレというのはそのミカという男なんだな?同じオッドアイだからそいつに惹かれたのか?かなりのイケメンだと聞いたが・・・」

ブラウンがかった金髪、水色と榛色のオッドアイの細マッチョイケメン。

雅樹がそう評するほどの男と瑠花が過去に付き合っていた。

そして今、再会に乗じて、焼けぼっくいに火がつこう・・・など、長年瑠花を探し続けた朔也にとっては言語道断。

敵の情報なら、どんな些細なことでも知っておきたい。

戦いは情報を制するものが勝つ。

朔也は、ここぞとばかりに瑠花に攻め込んでいった。
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