美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「副社長のセクハラの件につきましては、女子社員からの証言と、彼女たちに社から貸し出されているパソコンから録画した証拠の動画が揃っています」

心晴も心底不快な感情を露にして、決定打を繰り出した。

「きぃぃ・・・!心晴、あんたって子は本当に憎らしいわ。私の幸せを妬んでこんなことをするのね、許さない」

「姉さん、私だけがターゲットならまだ我慢したわ。でも関係ない人たちまで・・・私の愛する人まで傷つけるのは許せないの」

両親のしてきたことに関係のない子供の心晴が責められる言われはない。

その事に気づかない浅子は大人になりきれないままここまで過ごしてきたのだろう。

「そんなこと、あんたにだけは・・・」

ヒステリックに叫ぶ浅子を、義兄である賢人が宥めた。

「こら、浅子さん。いい加減にしなさい。君は少し頭を冷やすべきだな。そして、直人と狭間部長、二人は私についてきなさい。幹部会が待っている」

「いや、兄さん、僕は騙されたんだ」

「社長、これには理由が・・・」

社長の合図で駆け込んできた秘書らに引き摺られて、直人と狭間、浅子は社長室から出ていった。

「私も行くわね。但馬課長も穂積部長との話が済んだら会議室に来てください。・・・藤川も待ってますから」

続いて心晴も離席する。

社長室には、但馬と朔也だけになった。
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