美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
但馬が副社長と狭間の部下でいることにこだわったのも、有名な占い師に『イニシャルNHの上司に従えば出世できる』と言われたからだ。
ちなみに、副社長は穂積直人、狭間の名前は憲明(のりあき)といい、いずれもNHだ。
なぜ、朔也がそんな゛奴の秘密゛を知っているのかというと、但馬の姉に言い寄られた過去があるから。
爬虫類顔は姉弟共通で、全く朔也の好みではない。
但馬の姉も以前、穂積ソワンデシュヴに勤めており、弟の同期である朔也を勝手にロックオンし長いこと付きまとっていた。
その当時は、会社の歓迎会や忘年会といった飲み会の度に隣の席を陣取られ、聞きもしないのに酔っては絡み、弟の秘密を話して聞かせる、それが彼女のルーチンワークだった。
謀らずも但馬の弱味を握ることとなったのだが、当時はただただ迷惑としか思っていなかった。
しかし今となれば、こうして但馬を追い込むことに役立てることができるのだから少しは我慢した甲斐があった、と朔也は思った。
まあ、但馬の姉が、朔也がフランスに赴任している間に地元の大地主の後妻となり、穂積ソワンデシュブを去っていてくれたからこそ言える戯言ではあるのだが・・・。
「あんた、オッドアイを言い伝えを聞いたんだろう?異質なものが自分に悪さをするかもしれないと怯えていたら調べずにはいられないだろうからな」
狭間はラッキーアイテムマニアであると同時に不幸を呼び寄せるとされるものは徹底的に排除する。
好き好んでアンラッキーアイテムに近づくはずはない。
オッドアイは狭間にとって歓迎すべきアイテムだったのだ。
その中でも猫のオッドアイは有名だ。
日本でもゴールドとブルーアイの猫を、金目銀目と呼んで珍重してきた。
外国でもオッドアイを持つ猫に会えたらラッキーとするジンクスがある。
現に、朔也がマナを引き取ったペットショップにも狭間はちょくちょく顔を出しており、
『オッドアイの猫が入ったら教えてほしい』
と、そこの店長に頼み事をするくらいに熱望していた。
その店ではそもそも購入の予約制は取っておらず、特に生まれてくるかもわからないオッドアイの猫など約束はできなかった。
しかし、たまたまその店に搬入されたオッドアイのマナを、たまたま通りかかった朔也が購入した。
もちろん朔也がマナに出会ったのも、即決で引き取りを決めたのも単なる偶然。
朔也にマナを引き渡した店員が、たまたま狭間の出入りを知らない新入社員だったのも偶然だった。
狭間がオッドアイの猫を予約し、店側がそれを確約していたわけでもないのだから全く問題はない。
だが、朔也は遭遇してしまった。
予防接種のためにマナを連れてペットショップ横の動物病院を訪れた際、たまたまペットショップを訪れていた但馬とハチ合わせたのだ。
その時の但馬の驚きようと敵意を溢れさせた視線は一言では言い表せない。
動物病院で順番を待つ間に聞こえてきた、ペットショップの店長と言い争う但馬の言葉で朔也は全てを悟った。
但馬は朔也がラッキーアイテムを横取りしたと思っているのだと・・・。
ちなみに、副社長は穂積直人、狭間の名前は憲明(のりあき)といい、いずれもNHだ。
なぜ、朔也がそんな゛奴の秘密゛を知っているのかというと、但馬の姉に言い寄られた過去があるから。
爬虫類顔は姉弟共通で、全く朔也の好みではない。
但馬の姉も以前、穂積ソワンデシュヴに勤めており、弟の同期である朔也を勝手にロックオンし長いこと付きまとっていた。
その当時は、会社の歓迎会や忘年会といった飲み会の度に隣の席を陣取られ、聞きもしないのに酔っては絡み、弟の秘密を話して聞かせる、それが彼女のルーチンワークだった。
謀らずも但馬の弱味を握ることとなったのだが、当時はただただ迷惑としか思っていなかった。
しかし今となれば、こうして但馬を追い込むことに役立てることができるのだから少しは我慢した甲斐があった、と朔也は思った。
まあ、但馬の姉が、朔也がフランスに赴任している間に地元の大地主の後妻となり、穂積ソワンデシュブを去っていてくれたからこそ言える戯言ではあるのだが・・・。
「あんた、オッドアイを言い伝えを聞いたんだろう?異質なものが自分に悪さをするかもしれないと怯えていたら調べずにはいられないだろうからな」
狭間はラッキーアイテムマニアであると同時に不幸を呼び寄せるとされるものは徹底的に排除する。
好き好んでアンラッキーアイテムに近づくはずはない。
オッドアイは狭間にとって歓迎すべきアイテムだったのだ。
その中でも猫のオッドアイは有名だ。
日本でもゴールドとブルーアイの猫を、金目銀目と呼んで珍重してきた。
外国でもオッドアイを持つ猫に会えたらラッキーとするジンクスがある。
現に、朔也がマナを引き取ったペットショップにも狭間はちょくちょく顔を出しており、
『オッドアイの猫が入ったら教えてほしい』
と、そこの店長に頼み事をするくらいに熱望していた。
その店ではそもそも購入の予約制は取っておらず、特に生まれてくるかもわからないオッドアイの猫など約束はできなかった。
しかし、たまたまその店に搬入されたオッドアイのマナを、たまたま通りかかった朔也が購入した。
もちろん朔也がマナに出会ったのも、即決で引き取りを決めたのも単なる偶然。
朔也にマナを引き渡した店員が、たまたま狭間の出入りを知らない新入社員だったのも偶然だった。
狭間がオッドアイの猫を予約し、店側がそれを確約していたわけでもないのだから全く問題はない。
だが、朔也は遭遇してしまった。
予防接種のためにマナを連れてペットショップ横の動物病院を訪れた際、たまたまペットショップを訪れていた但馬とハチ合わせたのだ。
その時の但馬の驚きようと敵意を溢れさせた視線は一言では言い表せない。
動物病院で順番を待つ間に聞こえてきた、ペットショップの店長と言い争う但馬の言葉で朔也は全てを悟った。
但馬は朔也がラッキーアイテムを横取りしたと思っているのだと・・・。