美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「却下」

「こちらこそ却下を否却します」

睨み合う朔也と瑠花を前に、雅樹はニヤニヤしながら二人を見比べた。

「結果的に瑠花ちゃんは被害者じゃん。狭間と但馬に利用されてたのを罪だっていうのなら、朔也も、藤川も心晴ちゃんも会社を辞めさせる必要が出てくるよ?」

「そ、それは・・・」

狭間と愉快な仲間達が繰り広げたお粗末劇場の被害者は、何も瑠花だけではない。

悪玉を全て穂積ソワンデシュヴから追い出したのだから結果オーライなのかもしれない。

「それに、まだ新商品はどちらも完成していないんだよ。こんな中途半端な状態で会社を辞められたらそれこそ迷惑だよ」

「それなら、二つの製品が完成してから・・・」

意地でも引こうとしない瑠花に、朔也は焦れてグングンと近づいていった。

「瑠花、いい加減にしないとお仕置きするぞ」

「あ、朔也さん・・・」

抱き寄せられ、耳元で囁く朔也に瑠花は身体を震わせる。

瑠花の弱いところを知り尽くした朔也に敵うはずもなく・・・。

うっとりと朔也を見上げた時、

「おいおい、朔也、想いが叶ったからって会社でいちゃつくのはよせよ。・・・それに見えるところにキスマークつけるのはやめろ。目の毒だ」

雅樹の冷やかしに我に返った瑠花は、バッと朔也から離れると慌てて首を押さえて真っ赤になった。

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