美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「朔也くん、瑠花を頼むよ」
そんな小さな囁きのあと、朔也は瑠花の手を瑠花父から託された。
「もちろんです」
朔也は自信満々の表情で瑠花の手を自分の腕に巻き付けると、意気揚々とギャラリーの方に向き合った。
「本日は、穂積ソワンデシュヴの新商品発売イベントにお越し頂きありがとうございました。ここで少しですが、新商品開発にまつわるお話をさせて頂きたくこうしてお時間を頂きました」
堂々と挨拶をする朔也は、時期社長としてもマスコミに顔出しを始めていて、期待のイケメン副社長兼商品開発部長としても話題にのぼっている。
「新商品の開発は、隣に立つ三神主任をはじめとした研究開発課のスタッフにより様々な過程を経て消費者の皆様のニーズにあった形で提供されます。
私達、営業・販売スタッフはお客様個々のニーズを見極め、お客様に最適な商品を提供していく、そのために穂積ソワンデシシュヴは尽力して参りました。
今回発売するシリーズは、その中でも、ヘアケア商品を愛する三神主任をはじめとした穂積のスタッフが丹精込めて作り上げた渾身の一品です。
どうぞお手にとってお試しいただけると幸いです」
参列者、参加者の手には、穂積堂のショッパーズバッグに入れられた新商品2種がおさめられている。
゛Porte-bonheur゛
日本語で゛縁起物゛という意味のフランス語が名付けられたシャンプーとコンディショナーのセットは全二種類で、いずれも瑠花が開発したあの商品だった。
瑠花のデザインしたボトルに、朔也のデザインしたブラウンのオッドアイの猫・マナがキャラクターイラストとなってプリントされている。
本物のマナだが、今はウェルカムボードの横に置かれたぬいぐるみのように、朔也と瑠花の横に置かれたテーブルに腰かけすました顔でゲストを見つめている。
とても賢くお利口な猫だと誰もが思っているに違いない。
「三神主任、いえ、私の妻となる瑠花は、かつて世界で一番と言えるほどの穂積ソワンデシュヴの商品の大ファンでした。
12年前、彼女が表す商品に対する愛情と思い入れに感動し、私も穂積ソワンデシュヴの商品と会社に誇りをもち今後も社を発展させていくことを心に誓いました。
長いこと離ればなれとなっていましたが、こうして瑠花と再会し、縁を結ぶことができたのも穂積ソワンデシュヴのヘアケア商品のお陰だと思っております。
瑠花の夢は、自分の開発したヘアケア商品を消費者の皆様にお届けし笑顔にすることでした。
そして、私の夢は、瑠花に、もちろん消費者の皆様に、恥ずかしくない商品を世に送り出すこと。
そしていつか瑠花と再会し、そんな夢を持たせてくれた彼女に感謝の意を伝えたいということでした。
その夢がすべて叶おうとしている今、応援してくださっている皆様に、少しでも幸せのおすそわけをしたいと思い、新商品の発売と結婚披露宴を同時に執り行いたいと考えた次第です。どうぞ私のわがままをお許しください」
朔也が頭を下げるのと同時に、瑠花も慌てて頭を下げた。
瑠花の目には、溢れんばかりの感動の涙が浮かんでいる。
その瞬間、割れんばかりの拍手が会場から巻き起こった。
「おめでとう!」
「素敵」
「幸せのお裾分けをありがとう」
あちこちからお祝いの言葉が飛び交う。
瑠花は感動で涙を止めることができなかった。
そんな小さな囁きのあと、朔也は瑠花の手を瑠花父から託された。
「もちろんです」
朔也は自信満々の表情で瑠花の手を自分の腕に巻き付けると、意気揚々とギャラリーの方に向き合った。
「本日は、穂積ソワンデシュヴの新商品発売イベントにお越し頂きありがとうございました。ここで少しですが、新商品開発にまつわるお話をさせて頂きたくこうしてお時間を頂きました」
堂々と挨拶をする朔也は、時期社長としてもマスコミに顔出しを始めていて、期待のイケメン副社長兼商品開発部長としても話題にのぼっている。
「新商品の開発は、隣に立つ三神主任をはじめとした研究開発課のスタッフにより様々な過程を経て消費者の皆様のニーズにあった形で提供されます。
私達、営業・販売スタッフはお客様個々のニーズを見極め、お客様に最適な商品を提供していく、そのために穂積ソワンデシシュヴは尽力して参りました。
今回発売するシリーズは、その中でも、ヘアケア商品を愛する三神主任をはじめとした穂積のスタッフが丹精込めて作り上げた渾身の一品です。
どうぞお手にとってお試しいただけると幸いです」
参列者、参加者の手には、穂積堂のショッパーズバッグに入れられた新商品2種がおさめられている。
゛Porte-bonheur゛
日本語で゛縁起物゛という意味のフランス語が名付けられたシャンプーとコンディショナーのセットは全二種類で、いずれも瑠花が開発したあの商品だった。
瑠花のデザインしたボトルに、朔也のデザインしたブラウンのオッドアイの猫・マナがキャラクターイラストとなってプリントされている。
本物のマナだが、今はウェルカムボードの横に置かれたぬいぐるみのように、朔也と瑠花の横に置かれたテーブルに腰かけすました顔でゲストを見つめている。
とても賢くお利口な猫だと誰もが思っているに違いない。
「三神主任、いえ、私の妻となる瑠花は、かつて世界で一番と言えるほどの穂積ソワンデシュヴの商品の大ファンでした。
12年前、彼女が表す商品に対する愛情と思い入れに感動し、私も穂積ソワンデシュヴの商品と会社に誇りをもち今後も社を発展させていくことを心に誓いました。
長いこと離ればなれとなっていましたが、こうして瑠花と再会し、縁を結ぶことができたのも穂積ソワンデシュヴのヘアケア商品のお陰だと思っております。
瑠花の夢は、自分の開発したヘアケア商品を消費者の皆様にお届けし笑顔にすることでした。
そして、私の夢は、瑠花に、もちろん消費者の皆様に、恥ずかしくない商品を世に送り出すこと。
そしていつか瑠花と再会し、そんな夢を持たせてくれた彼女に感謝の意を伝えたいということでした。
その夢がすべて叶おうとしている今、応援してくださっている皆様に、少しでも幸せのおすそわけをしたいと思い、新商品の発売と結婚披露宴を同時に執り行いたいと考えた次第です。どうぞ私のわがままをお許しください」
朔也が頭を下げるのと同時に、瑠花も慌てて頭を下げた。
瑠花の目には、溢れんばかりの感動の涙が浮かんでいる。
その瞬間、割れんばかりの拍手が会場から巻き起こった。
「おめでとう!」
「素敵」
「幸せのお裾分けをありがとう」
あちこちからお祝いの言葉が飛び交う。
瑠花は感動で涙を止めることができなかった。