美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「三神瑠花さん、私と結婚してくれますか?そして、これまで以上に穂積ソワンデシュブの発展を願い共に支えて欲しい」

朔也の手が、瑠花の両手をギュッと握る。

その目には少しばかりの、本当に少しばかりの不安が滲んでいて可愛かった。

゛私がここで断ったら、この人どんな顔をするのかな?゛

そんな意地悪な疑問が頭を掠めたが、純粋に嬉しい。

自分の渾身の一品(二品になったが)を最高の形でプレゼンしてくれた。

そして最高のプロポーズ。

ここで、じらしたりツンデレを炸裂させるような野暮なことはしない。

「はい。喜んで」

会場に轟く拍手と共に、壇上のスクリーンに映像が映し出される。

いつの間に撮っていたのか、穂積堂のイベントに参加していた時の16歳の瑠花と、それを見つめる20歳の朔也が写真におさめられていた。

時は移り、研究室で真面目に開発に取り組む瑠花の写真、そしてフランスでパソコンと向き合い会議にのぞむ朔也の写真が続き、並んで微笑む今日の二人のウェディング姿に繋がる。

瑠花が感動に言葉を失っていると、続いて新商品のコマーシャルとなった。

オッドアイの猫・マナが艶々の地毛を舐めるその姿が印象的なCMは宣伝広報課課長・心晴の渾身の作品だ。

さすが心晴、敏腕営業係長、藤川との交際を経て着実に女をあげていた。

二人並んで瑠花に手を振りウィンクする姿が様になっていた。

「瑠花、愛してる。君に黙って勝手なことをした俺を許してくれるか?」

来場者がスクリーンに注目している間に、朔也は瑠花を引き寄せ唇にキスをした。

「しょうがありませんね。夢を叶えてくれたのだから許してあげます・・・それと、私も愛してますよ?」

いちゃつく二人に気づいたマスコミがすかさずシャッターを切る。

それからの瑠花は、マナを胸に抱き朔也と並んで招待客のお祝いの挨拶を受けることになった。

もちろん、新商品の宣伝も忘れずに・・・。

俺様朔也様の手の込んだ策略には完敗だ。

眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない。

美髪のシンデレラは、それからも大好きなヘアケア商品とツンツンデレ甘王子様に愛されて幸せに暮らしましたとさ。



おしまい。

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