美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「お客様は本日のモデルに負けないくらい素敵な美髪を維持されていますね。関心いたしました」

「御社の製品が素晴らしいからですよ。私は穂積のヘアケア商品から夢と希望を貰っているんです」

いつになく興奮し多弁な瑠花だったが、所詮は昨日まで引きこもっていた半分ニートの瑠花である。

他人にはわからない程度の興奮ぶりは、高校生らしからぬクールさを醸し出していた。

「まあ、こんな可愛らしい熱狂的なファンがいらっしゃるのなら、わが社ももっと頑張っていい商品を作らないといけませんね」

「商品を・・・作る?」

「ええ、わが社だけでなく、ライバル会社も日々素敵な商品をお届けしようと研究を重ねています。お客様の想いを開発者にもお伝えしますね」

綺麗なお姉さんの言葉に、瑠花は新たな夢の欠片を拾った気がした。

「はい。今後ともよろしくお願いします。私も(この会社に入れるように)頑張りますから」

謎の励ましと決意声明を受けたお姉さんは、一瞬戸惑いを見せたが、そこはプロ。

「ありがとうございます。またいらしてくださいね」

と、商品とお土産を渡し、瑠花を笑顔で見送ってくれた。

< 17 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop