美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「説明できないのですか?では、今回の商品と昨年同時期に発売した類似商品との違いについて説明して頂きたい」

去年の商品どころか、狭間は、先月発売した商品の特徴すら忘れてしまっているに違いない。

それでも、穂積は質問に質問を重ねて、狭間を追い詰めていく。

゛穂積部長は、狭間部長に何か個人的な恨みでもあるのだろうか?゛

瑠花はそう疑問に思いながらも、これ以上無駄な時間を過ごしたくなくて、遂に口を挟むことにした。

「あのう、いい加減、新商品の改良点について再度、提案させていただいてもよろしいでしょうか?」

真剣な目で訴えてくる瑠花に、狭間は明らかにホッとしたようで

「三神くん、そうしてくれ。穂積部長もここにいるみんなも本当に議論したいのはそこだからな」

と言って笑った。

オッドアイの瑠花が睨むと、まるで猛禽類か黒豹獣のような迫力がある。

しかし、またも穂積はそれを全く意に介することなく

「失礼、三神主任の邪魔をしてしまったな。ですが、狭間部長、後ほど私の質問に答えて頂こうと思っておりますので、くれぐれも逃亡なさらないように。いいですね?表の功労者さん」

と、狭間に念を押すことを忘れなかった。
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