美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「大丈夫.瑠花ちゃんは散々あの禿げ狸に煮え湯を飲まされてきたんだ。もっともっと怒ってもいいくらいなのに、本当に欲が無さすぎ」
「いえ、狭間部長には今まで色々とお世話になりましたから、怒るだなんてとんでもないです・・・」
瑠花も、雅樹の言いたいことはわかっていた。
入社以来、一心にヘアケア商品の改良と開発に取り組んできた瑠花の業績は、全て、狭間部長と橋沼の前任の但馬課長の手柄にされてきた。
決してお人好しの部類ではないので、瑠花もいいように利用されていることは自覚していた。
しかし、目立つことが嫌いで、表彰とか賞賛とかそういった名誉には全くといっていいほど興味がない瑠花にとっては、その方がかえって都合が良かったのである。
かといって世論は違う。
周囲の同僚や先輩の中にはそれを良しとしない者もたくさんいたらしい。
それでも、副社長の義父である狭間とその腹心である但馬を正面から責める猛者になりたがる者はこれまでいなかった。
瑠花自身は、手柄だけではなく表彰された際の賞与が彼らのものになろうと、自分が好きな仕事ができるのなら満足だった。
しかし、エリート花形部門から、エース橋沼がこの春商品開発部の研究開発課課長として派遣され状況は変わった。
話しやすい上司に、どこからか内部告発があったのではないかと噂されている。
社長の息子である穂積の急な都落ちも、その対応策の一つなのかもしれない。
「いえ、狭間部長には今まで色々とお世話になりましたから、怒るだなんてとんでもないです・・・」
瑠花も、雅樹の言いたいことはわかっていた。
入社以来、一心にヘアケア商品の改良と開発に取り組んできた瑠花の業績は、全て、狭間部長と橋沼の前任の但馬課長の手柄にされてきた。
決してお人好しの部類ではないので、瑠花もいいように利用されていることは自覚していた。
しかし、目立つことが嫌いで、表彰とか賞賛とかそういった名誉には全くといっていいほど興味がない瑠花にとっては、その方がかえって都合が良かったのである。
かといって世論は違う。
周囲の同僚や先輩の中にはそれを良しとしない者もたくさんいたらしい。
それでも、副社長の義父である狭間とその腹心である但馬を正面から責める猛者になりたがる者はこれまでいなかった。
瑠花自身は、手柄だけではなく表彰された際の賞与が彼らのものになろうと、自分が好きな仕事ができるのなら満足だった。
しかし、エリート花形部門から、エース橋沼がこの春商品開発部の研究開発課課長として派遣され状況は変わった。
話しやすい上司に、どこからか内部告発があったのではないかと噂されている。
社長の息子である穂積の急な都落ちも、その対応策の一つなのかもしれない。