美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
普通、ここまで手がかりがなければ諦めそうなものだが、それでも朔也の心から美髪の少女が出ていくことはなかった。

そのうちに、

゛うちのヘアケア商品の大ファンならば、もしかしたら穂積ソワンデシュヴCo.ltdに入社してくるのではないか・・・゛

と、更なる一抹の期待に心が囚われ始める。

諦めは希望に姿を変え、自分自身でも信じがたく、どこまでも際限のないこの執着心については一旦、目を瞑ることにした。

本社は基本的に大卒で新卒の志望者しか採用していないため、彼女が採用されるとすれば2年~4年後だろう。

販売ショップである穂積堂は都内に5店舗。

バイトで穂積堂に入る可能性も捨てきれない。

そうして、朔也は顧客データと社員データに目を配りつつ、美髪の少女が目の前に現れるのを今か今かと待ちわび続けたのである。
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