美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
会議室を出て、研究室の前で瑠花と別れた朔也と雅樹は、揃って部・課長室に入った。

「朔也、お前、分かりやすすぎ。あんなに狭間部長を追い詰めたら、お前が瑠花ちゃん側の人間だと宣言しているようなものだぞ?」

雅樹は、あからさまに狭間に敵意を向けた朔也を嗜めた。

「本当のことだから問題はないだろう。それよりも今までこの現状を把握していなかった幹部の目を節穴だと罵りたい」

かつて、この部・課長室を我が物顔で使っていた狭間と但馬。

社員の、主に瑠花の功績を自分のものとして利益を貪ってきた二人だ。

副社長の義父という、本人のスキルとは全く関係ないところで自らをブランドか何かのように誇示して見せる代表格。

御曹司と言われながらも、実力で今の地位までのしあがってきた朔也にとっては、狭間や但馬といったタイプの人間は最も忌み嫌う対象だった。

何より、功労者と称えられるべき瑠花を、長い間、日陰の゛灰かぶり姫゛にさせていた。

お陰で、朔也と瑠花の再会は大幅に遅れ、目の前に隠れているシンデレラを長いこと見つけ出せずにいたのだ。

その恨みは大きい。
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